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<海外旅行>つらい下痢を薬で止めていい?
海外旅行中に起こる下痢を「旅行者下痢症」と呼びます。発展途上国に1カ月間滞在すると半数近くの旅行者がかかるとされており、頻度が大変高い病気です。楽しいはずの海外旅行も、その途中で下痢をしてしまっては台無し。旅行者下痢症の予防や対処法について、トラベルメディスンの第一人者である東京医科大学の濱田篤郎教授が解説します。【毎日新聞医療プレミア】

 ◇ヘミングウェーを襲ったアフリカの下痢

 米国の作家、アーネスト・ヘミングウェーはサファリツアー(狩猟旅行)が大好きで、アフリカ東部を何度も訪れています。1934年に訪問した時は、キリマンジャロのふもとにあるサバンナで狩猟を楽しんでいましたが、その最中に下痢が始まります。それほど重症ではなかったので、そのままツアーを続けていたところ、やがて猛烈な腹痛が起こり、彼は救援機でケニアの首都ナイロビの病院に搬送されました。病名はアメーバ赤痢で、彼の腸は破裂する寸前でした。

 幸いにも約2週間の治療で回復し、彼は再びツアーに戻っています。アメーバ赤痢は原虫の「赤痢アメーバ」によって引き起こされる下痢で、当時のアフリカでは風土病として広く流行していました。アフリカ探検家として著名な英国のデビッド・リビングストンも、1873年にこの病気で亡くなったという説があります。

 ヘミングウェーも生死の境をさまよう体験をしたわけですが、救援機でナイロビに搬送される時に、彼は万年雪に覆われたキリマンジャロの頂上を見ていたはずです。この経験が名作「キリマンジャロの雪」を書く契機になったのではないかと、私は考えています。

 ◇一日10万円のトイレ代?!

 私の外来にも旅行者下痢症の相談に来られる受診者が数多くいます。先日は60歳代の女性が「海外旅行に下痢止めの薬を持参したい」という希望で来られました。

 この女性は1カ月後に南米一周ツアーへの参加を予定しています。ツアーのパンフレットを見せてもらうと、全行程ビジネスクラスを利用するという豪華な旅でした。実は、この女性は昨年も同様のツアーでアフリカ南部を旅行しており、その時に下痢を起こしていました。命に関わるような症状ではなかったのですが、2日間は予定をキャンセルし、ホテルの部屋でベッドとトイレを往復していたそうです。ツアー代から換算すると、1日当たり10万円がトイレ代に消えたことになります。そんな経験を二度としたくないと思い、次の旅行には下痢止めの薬を持って行きたいとのことでした。

 日本では下痢を止めない方がいいと言われていますが、海外旅行中の下痢は止めないと大変つらい思いをするのです。

 ◇病原体は大腸菌が多い

 旅行者下痢症を引き起こす病原体についてはさまざまな調査が行われており、半分以上は大腸菌が原因であることが明らかになっています。この大腸菌は「毒素原性大腸菌」と呼ばれる種類で、日本でも食中毒の原因になる腸管出血性大腸菌(O157など)とは異なるものです。この大腸菌で下痢をおこしても1週間ほどで回復しますが、先ほどの女性のようにトイレから出られないような状態になることもあります。

 大腸菌以外ではカンピロバクターやサルモネラ菌など、日本でも食中毒を起こす細菌が旅行者下痢症の原因になります。海外で下痢を起こす病原体というと、赤痢菌やコレラ菌など病原性の強い細菌を思い浮かべますが、こうした細菌が原因になることはまれです。また、ヘミングウェーの下痢を引き起こした赤痢アメーバなどの原虫も、最近では少なくなっています。

 ◇旅行者下痢症を予防するには

 こうした病原体は経口感染するので、海外でもとくに途上国に滞在する際は、飲み物や食べ物への注意が必要です。飲み物はミネラルウオーターや煮沸した水を飲用すること、食べ物はできるだけ加熱したものを摂取することなどが予防のための重要なポイントです。食事をする店も、衛生状態の良い店を選ぶことが大切です。

 水道水は最も危険ですが、意外と忘れてしまうのが氷。もし氷が水道水から作られていれば、水道水を飲んでいるのと同じことになります。飲食店などで飲み物を注文する際には、氷を入れないように伝えましょう。

 食べ物では果物に注意してください。カットしてある果物は表面に細菌が付着している可能性があるので、食べるなら自分で皮をむいて食べる果物をおすすめします。イチゴは皮をむかずに食べる果物なので、とくに注意が必要です。

 現地の家庭に招かれて出される食事にもご注意ください。現地の人には無害であっても、私たちには下痢を起こす飲み物や食べ物がたくさんあるからです。

 ◇なぜ水道水は危険なのか

 途上国ではなぜ水道水を飲むことが危険なのでしょうか。それは大腸菌などの病原体に汚染されているからです。途上国でも都市部やその周辺には浄水場があり、そこで処理された水は殺菌されています。しかし、問題は浄水場から飲食店や家庭までの水道管にあります。

 日本など先進国では水道管の内部が陽圧(外部より圧力が高い状態)になっており、さびなどが原因で小さい穴ができると、管内の水が周囲の土に少しずつ漏れ出していきます。ところが、途上国では管の内部が陰圧(外部より圧力が低い状態)になっていることが多く、穴があると周囲の土から病原体が管内に侵入し、水を汚染するのです。蛇口をひねって出てくる水には、下痢の原因となる病原体がほどよく“ブレンド”されていると思ってください。

 ◇旅先で下痢になってしまったら

 旅先で下痢になってしまった時は、どのように対処したらいいのでしょうか。まずは水分補給が大切です。できれば電解質や糖分を含んだ経口補水液(Oral Rehydration Solution=ORS)を飲むことをお勧めします。海外の薬局でも「ORSがほしい」と言えば簡単に購入できます。食事は下痢の程度によりますが、回数が多い場合は、食事をせずに水分補給だけにするのがいいでしょう。

 では、下痢止め薬を服用してもいいのでしょうか。答えはイエスです。冒頭で紹介した南米旅行前に受診した女性にも、私は下痢止め薬を処方しました。2017年に国際渡航医学会が作成した旅行者下痢症の予防と治療のガイドラインがあります。これによれば、旅行者下痢症の治療として第1に挙げられているのが、下痢止め薬の服用です。日本国内で起きる下痢は別として、旅行者下痢症では下痢止め薬を飲んでも構わないのです。

 ただし、私が旅行前の人に下痢止め薬を処方する際には、整腸剤程度の軽い薬剤を処方します。また、血便や高熱があるような下痢では薬を服用せず、現地の医療機関を受診するよう指導しています。さらに、旅行前の健康な人に処方する場合は健康保険がきかないので、自費診療を行います。

 旅行者下痢症は旅先でかかる頻度の高い病気です。海外旅行を楽しい思い出にするためには、その予防法を学んでおくとともに、下痢をしてしまった時の対処法についても十分な準備をしておきましょう。

出典 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180902-00000009-mai-soci

トイレがない移動手段は怖すぎる俺にとって、旅行者下痢症はつらすぎるな。。
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